『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』 たった一年の出稼ぎのはずが騙され売られた北朝鮮女性。二つの家族の間で揺れる、その数奇な運命の記録。 ただ幸せになりたかった- 2016年モスクワ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー映画賞 2016年チューリッヒ国際映画祭 最優秀ドキュメンタリー映画賞 2016年カンヌ国際映画祭ACID部門正式出品 シアター・イメージフォーラムにて2017年6月10日(土)より緊迫のロードショー! 特別鑑賞券(当日一般1,800円のところ)1,300円(税込) 劇場窓口にて絶賛発売中!

並外れた女性のたくましく我慢強い姿が描かれている。生き抜くために何でもする覚悟をもち、地理的な国境だけでなく、感情的な、倫理的な、あらゆる境界線を超えていく。――――――テレラマ誌(仏)

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TRAILER トレイラー

INTRODUCTION イントロダクション

北朝鮮、中国、そして韓国へ
母として妻として貪欲に生き抜こうとする、
名もなき脱北女性の幸せのかたちとは

脱北するつもりじゃなかった――何にも庇護されることのない悲劇的人生の記録。

十年前、家族のため一年間だけの出稼ぎのはずが騙され中国の貧しい農村へ嫁として売り飛ばされた北朝鮮女性B(ベー)。憎むべき中国人の夫と義父母との生活を受け入れ、中国と北朝鮮の家族を養うため脱北ブローカーとなる。北朝鮮に残してきた息子たちの将来を案じた彼女は、息子たちを韓国へ脱北させ、自らも過酷な脱北の旅へと出る。命からがら辿り着いた韓国で、彼女を待ち受ける苦く辛い日々。生死を越えて彼女を追い詰める、母そして女としての葛藤。脱北者Bの人生に、安らぎは、幸せは約束されているのか。

カンヌに衝撃を与え、世界で絶賛されたドキュメンタリー

この名もなき北朝鮮女性B(ベー)の生き様を記録したのは、フランスと韓国を拠点に映画製作し、これまでに5本の中短編映画がカンヌ国際映画祭に出品され、今最も注目される新鋭ユン・ジェホ。大胆で鋭く、ときに美しい映像で、中国と北朝鮮そして韓国に引き裂かれるBの分断の人生を、自らのアイデンティティへの疑問と闘いながら記録した。分断が分断を呼び、別離が新たな別離を生む皮肉――平凡な幸せを望みながら生き抜く中年女性の予想だにしなかった生き様に、心を根底から揺さぶられる。

PRODUCTION NOTE プロダクションノート

2013年、監督のユン・ジェホは、中国へと渡った。劇映画のシナリオ開発のため、脱北者に会い取材するためだ。脱北ブローカーを介した何度目かの紹介で辿りついたのが、自身も北朝鮮から中国へと渡り、脱北ブローカーとして活動する北朝鮮女性B、マダム・ベーだった。彼女から取材が可能な脱北者を紹介してもらうことになっていた。

ある日、マダム・ベーは中国で一緒に暮らす“家族”の元へとユン監督を招いた。そこでしばらく生活を共にする間、ユン監督に様々な疑問が湧いてくる。なぜ中国人の夫、そして家族がいるのか。なぜ危険を冒してまで脱北ブローカーをやっているのか。

マダム・ベーは言った。「私を記録しなさい」

間もなくマダム・ベーは、先に韓国へと脱北させた息子たちの生活を安定させるため、自身も中国から韓国へ渡ることを決心する。

戸籍のない彼女も脱北ルートを行くしかない。金正恩体制になり爆発的に増えた脱北する北朝鮮人たち。そのルートも政治状況により変化し続けている。かつてはモンゴル、ベトナム経由が一般的だったが、砂漠を歩く過酷さと国境警備が厳重になったことから、現在はラオスからタイを経由するルートが急増。マダム・ベーも辿った同ルートは比較的安全とされているが、運悪く逮捕される脱北者たちもいる。彼女らより2週間ほど後に同ルートを辿った人々は、逮捕され北送(北朝鮮へ送還)された。

タイを目指すルートでの脱北者は年間2,000人近く。彼らが命からがらバンコクの難民支援センターへ辿り着くと、まずは身元調査が行われる。そして受入れ可能な国のうちどの国へ行くか選択を迫られるが、脱北者の多くは同じ言語と食文化を持つ分断されてしまった自国、韓国での定住を希望する。バンコクに到着後、ユン監督は不法入国で強制送還、マダム・ベーは難民支援センターに収容される。

約10か月後の韓国で、ユン監督はマダム・ベーを捉える。それは地味な制服に身を包み、浄水器の清掃をする姿だった。清掃の仕事を終え、道端に停めたスクーターにもたれて蒸した芋を頬張る。そこには中国での逞しさ、強引さは微塵もない。かつて「いい生活をしている」と聞かされた韓国で、マダム・ベーは幸せではないのか。分断が分断を呼び、別離が新たな別離を生む。ユン監督の切り取る簡潔で繊細な映像が、マダム・ベーの生き様を残酷に際立たせる。

DIRECTOR 監督

監督:ユン・ジェホ (Jero YUN) 観客へのメッセージ

「マダム・ベー」はある女性に関する物語です。自分の夢を探す、自分の夢のために闘う一人の母の物語であり、その女性を、観客の皆さんが「ある人間の物語」として観てくれればと思います。その女性を通して私たちが感じる人生の価値観に対して疑問を持つきっかけになる作品であればいいと思います。そして日本でたくさんの方が観てくれるといいなと小さな望みを抱いています。

監督:ユン・ジェホ

PROFILE プロフィール

1980年1月5日、韓国・釜山出身。フランス、ナンシーのエコール・デ・ボザール、パリのアール・デコ、ル・フレノワで、美術、写真、映画を 学ぶ。2011年短編「約束」が、アシアナ国際 短編映画祭で大賞を受賞。2012 年ドキュメンタリー「北朝鮮人を探して」でメキシコ国債短編環境映画祭審査員スペシャルメンション賞を受賞。2013年台北映像委員会が制作したオムニバス映画に参加し、短編「豚」を 台湾の女性監督シンイン・チェンと共同で演出し、カンヌ映画祭監督週間、プサン国際映画祭に招待された。最新作の短編劇映画「ヒッチハイカー」は、韓国政府の統一部の出資で作られ、「マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白」とともに、2016年のカンヌ映画祭監督週間で上映された。

REVIEW レビュー

『マダム・ベー』においてユン・ジュホ監督は現代のひとつの悲劇の目撃者だ。簡潔さと微妙さをうまく融合させ、他にはないドキュメンタリーを残した。-“La Croix” by Marie Soyeux

韓国出身のユン・ジュホ監督が、ドキュメンタリー映画を通して朝鮮半島の分断や格差を探りだしていく。-“L'Humanité” by Dominique Widemann

ある北朝鮮女性の物語『マダム・ベー』は、(人生と戦い続ける)ヒロインに呼応するかのように、見るものに息をも持つかせぬ映画。-“Transfuge” by Sidy Sakho

THEATER 劇場案内

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京都シネマ 075-353-4723 8/11(土)~8/24(金) -

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第七藝術劇場 06-6302-2073 上映終了 -
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